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4人家族で新しく食器棚を選ぶとき、「幅は120cmで足りる?それとも160cmや180cm必要?」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。家具店に行くと、さまざまなサイズのカップボードや背面収納が並んでいて、どれを選べばいいのか迷ってしまいますよね。
一般的に、4人以上の家族なら幅120cm以上が推奨されていますが、これはあくまで最低限のサイズとして考えてください。実際には、電子レンジや炊飯器などの家電も一緒に置きたい場合や、ゴミ箱スペースも確保したい場合には、140cmから160cm、さらに180cm幅を選ぶご家庭も少なくありません。
また、食器棚選びでは幅だけでなく、奥行や高さ、そしてキッチン全体の通路幅とのバランスも重要なポイントです。「大きければ収納力があっていい」というわけではなく、動線や使い勝手を考えた適切なサイズを選ぶ必要があります。
この記事では、4人家族にちょうどいい食器棚のサイズについて、幅・奥行・高さの基本から、幅120cm・140〜160cm・180cmそれぞれのメリットとデメリット、食器の量・家電・ゴミ箱・動線まで含めた具体的な選び方、そして間取りタイプ別の考え方まで、わかりやすく整理してお伝えします。
最後まで読んでいただければ、「なんとなくこのくらい」ではなく、「うちの暮らしにちょうどいい1台」を自信を持って選べるようになるはずです。
4人家族の食器棚サイズ、まずは「一般的な目安」を押さえよう
食器棚選びで失敗しないためには、まず基本となる一般的なサイズの目安を知っておくことが大切です。ここでは、4人家族向けの食器棚について、幅・奥行・高さの標準的なサイズと、キッチン通路幅との関係を確認していきましょう。
4人家族なら幅は何cmくらい?よくある3つのサイズ
4人家族の食器棚について、家具メーカーやキッチンメーカーが推奨しているサイズは、基本的に幅120cm以上です。子どもが1〜2人いる家族に必要な食器棚の平均的なサイズとして、幅120cmがよく挙げられています。
ただし、食器棚の中央部分などに家電を置くスペースがあるレンジボードタイプの場合、4人家族では140cmから160cmが必要という意見が多く聞かれます。実際に家具店では120cm幅のレンジボードがたくさん置いてありますが、この大きさでは少し収納が足りないという声も多いのが現実です。
一方で、150cmから180cmあると安心して使えるという意見もあれば、使う食器の量は家庭によって大きく異なるため、必ずしも大きなサイズが必要とは限りません。あくまで平均的なサイズとして参考にしていただきたいと思います。
4人家族の食器棚を幅で分けると、次の3つのゾーンに整理できます。
コンパクト:幅120cm前後
このサイズは、食器収納をメインとして考え、家電は必要最低限のものだけを置く場合に適しています。キッチンのスペースが限られている場合や、ミニマムな暮らしを好む方に向いているサイズです。ただし、4人家族で使用する場合、収納スペースにあまり余裕がないため、食器の量をコントロールしながら使う必要があります。
標準:幅140〜160cm前後
4人家族で最もバランスが良いとされるのがこのサイズです。食器収納に加えて、電子レンジ・炊飯器・トースターなどよく使う家電を置くスペースも確保でき、さらに一部のゴミ箱スペースまで組み込めます。多くのご家庭が選んでいる標準的なサイズで、収納力と設置スペースのバランスが取れています。
たっぷり:幅180cm前後
3〜4人家族が食器と家電を余裕を持って収納できるサイズです。来客用の食器や季節の器、保存容器なども含めてゆったり収納したい方に適しています。ただし、設置スペースが大きくなる分、キッチンに圧迫感が生まれたり、価格も高くなる傾向があります。通路幅との兼ね合いも慎重に検討する必要があります。
奥行・高さの「標準サイズ」はこのくらい
食器棚やキッチンボードの奥行は、40cmから45cmが標準的なサイズとされています。45cm程度の奥行があれば、一般的な食器や調理器具の収納には十分です。中型の皿、ボウル、コーヒーメーカーなどを収納する場合にも適しており、中規模のキッチンや小さな子どもがいる家庭に最適なサイズといえます。
家電も一緒に置く場合は、45cm以上の奥行を確保することをおすすめします。特に大型の電子レンジやスチームオーブンレンジは奥行が40cmから45cm程度あるものが多く、さらに背面に排熱スペースも必要になります。奥行45cmの食器棚だと、レンジが少しはみ出してしまうこともあるため、将来的に高機能の大型レンジを購入する可能性がある場合は、50cm以上の奥行を選ぶと安心です。
一方で、奥行30cm程度の食器棚は非常にコンパクトで、キッチンの通路を広く取れるメリットがあります。ただし、電子レンジなどの設置は難しく、収納力もそれほど高くないため、一人暮らしや二人暮らし向けといえるでしょう。
食器棚の高さについては、180cmから200cmが一般的なサイズです。特に4人暮らしであれば、幅90cm×高さ180cm前後のハイタイプを基準に選ぶのがおすすめです。ハイタイプは空間を無駄なく使えて収納量が多いため、ファミリー世帯にうってつけのサイズといえます。
ただし、高さを決める際には天井までのクリアランス(空間)も考慮する必要があります。天井とのすき間が少なすぎると圧迫感が出るだけでなく、地震の際の転倒リスクも高まります。設置スペースに余裕がある場合は、突っ張り棒や上置き棚を活用して天井まで固定することで、安全性を高めることができます。
キッチンの通路幅から見た「これ以上出っ張ると危険ライン」
食器棚のサイズを考える際に、意外と見落としがちなのがキッチンの通路幅です。食器棚が大きすぎて通路が狭くなると、日々の調理作業に支障をきたしてしまいます。
キッチンの通路幅については、使用する人数によって目安が異なります。基本的に1人で料理をする家庭の場合、通路幅は80cmから90cmが最適です。1人でキッチンを使用するなら、このくらいの幅があれば問題なく作業できます。ただし、冷蔵庫や食器棚の扉を開ける場合には少し余裕がなくなるため、脇に立って開ける必要が出てきます。
2人以上で使うことが多い場合、または家族世帯で複数人がキッチンを行き来する場合は、通路幅100cmから120cmを確保することをおすすめします。この幅があれば、2人が同時にキッチンに立っていてもある程度スムーズにすれ違うことができます。特に、調理中に家族が冷蔵庫にジュースを取りに来たり、ゴミ箱にゴミを捨てに来たりする場合でも、ストレスなく動けます。
通路幅を決める際には、食器棚の奥行だけでなく、扉の開閉スペースや引き出しの飛び出し、冷蔵庫の奥行も考慮する必要があります。I型キッチンのカウンターの奥行は65cm、背面の食器棚は45cmが一般的な寸法ですが、一般的な冷蔵庫の奥行は約70cmとされています。さらに、冷蔵庫背面には放熱スペースを確保しなければいけないため、壁から離して設置する必要があります。
そのため、キッチンカウンターと食器棚の奥行だけで通路幅を決めてしまうと、冷蔵庫が飛び出してしまい、その部分だけ狭くなって使いにくいキッチンになってしまいます。食器棚を後で置く場合も同様で、大きな食器棚を設置したいと思った場合、その分の奥行を想定していないと、通路幅が狭く感じてしまいます。
実際の使用シーンをイメージすると、食器棚の前で立っていても、後ろを人が通れるかどうかが重要なポイントです。通路幅が70cm以下だと、キッチンに1人が立ち、その後ろをもう1人が通るのにギリギリの広さとなり、冷蔵庫の扉や食器棚の引き出しなどを開けていると、2人がすれ違うことも困難になります。
4人家族の「持ち物」から逆算する食器棚サイズの考え方
食器棚のサイズを選ぶ際には、単に「4人家族だから◯cm」と決めるのではなく、実際に持っている食器や家電の量から逆算して考えることが大切です。ここでは、4人家族が実際にどれくらいの食器を持っているのか、そして食器以外に何を収納する必要があるのかを整理していきましょう。
4人家族の食器は何枚くらい?リアルな枚数イメージ
4人家族で実際にどれくらいの食器を持っているかについて、いくつかの実例を見てみましょう。ある4人家族の実例では、トールユニットの大きな引き出し2段分に食器を収納しており、その枚数は合計64枚でした。内訳は、茶碗4個、汁椀4個、小鉢8個、小鉢(深め)6個、角皿8枚、角鉢(小)4個、どんぶり(小)4個、どんぶり(大)4個、カレー皿4個、平皿4枚、大皿2枚、その他イレギュラーなサイズ12個となっています。
また、4人家族に最低限必要な食器の枚数として、約42枚が目安とされています。さらに、マグカップやグラス類は14個程度は必要になるため、4人家族の場合は合計で56枚(個)以上の食器を所持していることになります。56枚と聞くと意外と多いと感じるかもしれませんが、この数は最低限必要な数なので、実際には56枚よりも多く食器を持っている家庭がほとんどです。
メーカーのコメントでも、4人家族で約50枚が目安とされており、おおむね50枚から60枚前後が一般的な枚数といえるでしょう。ただし、この枚数は普段使いの基本的な食器のみをカウントしたものです。
実際には、普段使いの皿・茶碗・コップに加えて、お客様用の食器、こども用のプレートやボウル、お弁当箱、水筒、保存容器(タッパーなど)、季節の器(そうめん皿や土鍋など)なども含めると、さらに多くの食器類を収納する必要があります。特に子どもが成長するにつれて、学校用のお弁当箱や水筒、部活用の大きな水筒などが増えていくため、現在の食器量だけでなく、これから増える可能性も考慮してサイズを選ぶことが重要です。
家電とゴミ箱も含めた「1台に乗せたいものリスト」
食器棚を選ぶ際には、食器だけでなく、キッチン周辺に置きたい家電も考慮する必要があります。食器棚に置かれることが多い家電としては、電子レンジ、炊飯器、トースター、電気ポット、コーヒーメーカーなどが挙げられます。このほかにも、ミキサー、電気フライヤー、ホットプレートなどを収納しておきたいと考えている方もいるでしょう。
これらの家電を食器棚に置く場合、それぞれの設置スペースと、使用時の安全スペースも確認しておく必要があります。電子レンジの場合、天面は10cmから15cm以上、背面は3cmから10cm以上、両側面も3cmから10cm以上確保しなければならず、どの程度空けなければならないかは製品によって大きく異なります。全体として10cmから20cm程度のクリアランスが確保できると良いでしょう。
また、ゴミ箱の配置についても事前に計画しておくことが大切です。ゴミ箱を食器棚の下部に組み込むタイプと、別置きするタイプがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
食器棚下にゴミ箱を組み込むタイプのメリットは、キッチン全体がすっきりと見え、動線もコンパクトになることです。可燃ゴミ、資源ゴミ(ペットボトル・缶・ビンなど)を分別して収納できるタイプもあり、45L対応のゴミ箱を2つから3つ設置できる食器棚も販売されています。デメリットとしては、ゴミ箱のフタを開閉できる高さが確保されているか、ゴミ袋の交換がしやすいかなど、使い勝手を事前に確認する必要があります。
別置きタイプのメリットは、ゴミの量や種類に応じて自由にゴミ箱のサイズや数を変えられることです。ただし、キッチンの床スペースを別途確保する必要があり、見た目もやや雑然とした印象になる可能性があります。ご自宅のキッチンでどれくらいのゴミが出るのか、分別の種類はいくつあるのかを考えて、最適な方法を選びましょう。
「120cm」「140〜160cm」「180cm」の収納力イメージ
それぞれの幅のサイズで、どれくらいの収納力があるのか、具体的にイメージしてみましょう。
幅120cm:食器メインで家電は最低限
幅120cmの食器棚は、4人家族でも必要最低限の収納を確保できるサイズです。食器がメインで、家電は電子レンジと炊飯器など最低限のものだけを置く場合に適しています。4人家族でもミニマム派の方、つまり食器の量を厳選して持ち、キッチン家電もシンプルに抑えている方に向いています。
ただし、収納スペースにはあまり余裕がないため、食器が増えてくると収納しきれなくなる可能性があります。特に、子どもの成長に伴ってお弁当箱や水筒が増える場合や、来客用の食器も充実させたい場合には、やや手狭に感じるかもしれません。一方で、キッチンのスペースが限られている場合や、別途パントリーがあって他に収納場所を確保できる場合には、120cmでも十分に機能します。
幅140〜160cm:食器+家電+ゴミ箱までバランス良く
幅140cmから160cmの食器棚は、4人家族にとって最もバランスが良い標準サイズといえます。食器収納に加えて、電子レンジ・炊飯器・トースター・電気ポット・コーヒーメーカーなど、よく使う家電を置くスペースも確保でき、さらに一部のゴミ箱スペースまで組み込むことができます。
実際に、食器棚の中央部分などに家電を置くスペースがあるレンジボードタイプだと、4人家族で140cmから160cmは必要という意見が多く聞かれます。家具店を見ても、120cm幅のレンジボードがたくさん置いてありますが、この大きさでは少し収納が足りないという声が多いのが現実です。
このサイズなら、4人分の食器約50枚から64枚程度と、主要な家電すべて、そして45L対応のゴミ箱2つ程度を収納できます。収納力と設置スペースのバランスが取れているため、多くのご家庭が選んでいる人気のサイズです。こんな家族におすすめというパターンとしては、4人家族で標準的な食器量を持ち、家電もひと通り揃えたい方、ゴミ箱も食器棚に組み込んでキッチンをすっきり見せたい方に最適です。
幅180cm:余裕を持って収納、ただし圧迫感に注意
幅180cmの食器棚は、3〜4人家族が食器と家電を余裕を持って収納できる大型サイズです。4人分の食器に加えて、来客用の食器、季節の器(そうめん皿や土鍋など)、保存容器、お弁当グッズなど、すべての食器類をゆったりと収納できます。家電も、電子レンジ・炊飯器・トースター・電気ポット・コーヒーメーカー・ホットプレートなど、多くの種類を置くことができます。
このサイズのメリットは、収納スペースに余裕があるため、食器や家電を取り出しやすく、整理整頓もしやすい点です。将来的に家族が増えたり、食器や家電が増えたりしても対応できる拡張性があります。
一方で、デメリットとしては、設置スペースが大きくなる分、キッチンに圧迫感が生まれることです。特に、対面キッチンの背面に180cm幅の食器棚を置くと、通路幅が狭くなってしまう可能性があります。また、価格も120cmや140cmの食器棚に比べて高くなる傾向があります。
こんな家族におすすめというパターンとしては、食器や調理器具をたくさん持っている方、料理が趣味でキッチン家電も充実させたい方、キッチンに十分なスペースがあり、通路幅も100cm以上確保できる方に適しています。
間取り別・4人家族の食器棚サイズとレイアウトのコツ
食器棚のサイズは、キッチンの間取りタイプによっても最適な選択が変わってきます。ここでは、代表的な3つのキッチンタイプごとに、4人家族におすすめの食器棚サイズとレイアウトのポイントを解説します。
壁付けキッチン+背面収納タイプの場合
壁付けキッチンは、キッチン本体が壁に接して設置されているタイプで、その反対側の壁に食器棚(カップボード)を置くレイアウトが一般的です。このタイプは、14畳程度の長方形LDKなど、あまり広くない間取りでよく採用されます。
壁付けキッチンのメリットは、キッチンとダイニングが一体となっているため、配膳や片付けの動線がコンパクトになることです。食器棚からお皿を取り出して、すぐ後ろのダイニングテーブルに並べることができます。
このタイプで食器棚を選ぶ際のポイントは、キッチンとダイニングテーブル、そして冷蔵庫との位置関係をしっかり考えることです。食器棚の幅は120cmから180cmまで検討できますが、通路幅の確保が最優先となります。
例えば、システムキッチンの奥行が65cm、食器棚の奥行が45cmの場合、この2つの間の通路幅を最低80cmから90cm、できれば100cm程度確保したいところです。冷蔵庫の奥行も約70cmあるため、冷蔵庫がある部分だけ通路が狭くならないよう注意が必要です。
壁付けキッチンの場合、ダイニングテーブルとの距離も重要です。食器棚の後ろ(ダイニング側)にダイニングテーブルと椅子を置く場合、椅子を引くスペースも考慮すると、食器棚の背面からテーブルまで最低80cm程度の空間が必要になります。
そのため、壁付けキッチン+背面収納のレイアウトでは、キッチンと食器棚の通路幅、食器棚とダイニングテーブルの間の空間、この2つをしっかり確保できるかどうかを事前にシミュレーションすることが大切です。もし幅180cmの食器棚を置くとダイニングスペースが狭くなってしまう場合は、幅120cmから140cmに抑え、その分をパントリーや他の収納で補うという選択肢も検討しましょう。
対面キッチン・ペニンシュラ型の場合
対面キッチンやペニンシュラ型キッチンは、キッチンカウンターがリビング・ダイニング側に向いているタイプで、近年のファミリー世帯に人気のレイアウトです。キッチン背面にカップボードを並べるケースが多く、収納力を重視して幅180cmまで入れるかどうかの判断が重要になります。
対面キッチンの場合、背面に大きいカップボードを置くのであれば、扉・引き出しを開けた時の奥行なども考慮すると、最低110cmの通路幅は確保したいところです。ファミリー世帯に人気の対面キッチンで、2人以上で同時に調理をする場合、または調理中に家族が冷蔵庫や食器棚にアクセスする場合を考えると、100cmから120cm程度の通路幅があると快適に使えます。
対面キッチンのメリットは、リビング・ダイニングの様子を見ながら調理できることです。小さなお子さんがいる家庭では、子どもの様子を見守りながら料理ができるため、安心感があります。また、家族とコミュニケーションを取りながら調理や片付けができるのも魅力です。
このタイプで食器棚のサイズを決める際は、通路幅とダイニングスペースの兼ね合いが最大のポイントとなります。例えば、キッチンカウンターの奥行が65cm、食器棚の奥行が45cmの場合、この2つの間に100cmから120cmの通路幅を確保すると、合計で210cmから230cmの奥行スペースが必要になります。
さらに、ダイニングテーブルと椅子を置くスペースも必要です。4人掛けのダイニングテーブル(幅120cm×奥行80cm程度)と、椅子を引くスペース(背面に80cm程度)を考えると、ダイニングエリアだけで160cm以上のスペースが必要になります。
そのため、LDK全体の奥行が限られている場合は、食器棚の幅を180cmではなく120cmから140cmに抑えて通路幅を優先する、または食器棚の奥行を45cmではなく40cmにして通路幅を広げるといった工夫が必要です。代わりに、パントリーやキッチン内の引き出し収納を併用することで、収納力不足を補うことができます。
造作キッチン・引き出し収納メインの場合
最近では、食器棚単体を置くのではなく、キッチン本体の引き出しやトール収納に食器を入れるケースも増えています。これは造作キッチンやシステムキッチンで、収納を充実させたプランを選択した場合に多いパターンです。
実例として、幅90cm、奥行65cmのトールユニットの大きな引き出し2段分を食器収納として使い、4人家族で64枚の食器を収納しているケースがあります。この場合、食器棚を別途置く必要がないため、キッチンの背面スペースを広く使うことができます。
引き出し収納のメリットは、上から見下ろして食器を選べるため、奥の食器も取り出しやすい点です。開き戸タイプの食器棚だと、奥の食器が見えにくく取り出しづらいという問題がありますが、引き出し式なら完全に引き出すことで奥までくまなく使うことができます。
また、引き出し収納にソフトクローズ機能(ゆっくり閉まるブレーキ機能)が付いていれば、勢いよく閉めても静かにしまるため、食器への衝撃も少なく安心です。
このタイプを選ぶ場合のポイントは、食器棚を小さくする代わりに、他の収納を活用するという発想です。例えば、幅120cmの小さめの食器棚やカウンターボードを置いて、主に家電を置くスペースとして活用し、食器はキッチン本体の引き出しに収納するという方法もあります。
さらに、パントリー(食品庫)を設けることで、乾物や調味料、買い置きの食品、調理器具などを別途収納できるため、食器棚をコンパクトにしても十分に機能します。実際に、キッチン側に食洗機がない分、その部分が収納になっているケースや、パントリーがない代わりに大きめの食器棚で補っているケースなど、各家庭の事情に合わせて柔軟に対応することが大切です。
造作キッチンや引き出し収納メインのレイアウトは、初期費用はやや高くなる傾向がありますが、動線がコンパクトで使い勝手が良く、見た目もすっきりと統一感のあるキッチンに仕上がります。新築やフルリフォームの際には、ぜひ検討してみてください。
後悔しないためのチェックリスト|買う前にここだけは確認!
食器棚を購入する前に、必ず確認しておきたいポイントをチェックリストにまとめました。これらを事前にしっかり確認しておくことで、購入後の後悔を防ぐことができます。
設置スペースの「幅・奥行・高さ+開閉スペース」
食器棚を購入する際、最も基本的で重要なのが設置スペースの実寸を測ることです。ただし、測った実寸そのままのサイズの食器棚を選んでしまうと、搬入できなかったり、ギリギリすぎて使いにくかったりする可能性があります。
設置スペースの幅を測る際は、実寸からマイナス5cm程度の余裕を見てサイズを決めることをおすすめします。例えば、設置スペースの幅が165cmある場合、食器棚は160cmまでにしておくと、壁との間に少し余裕ができ、搬入もスムーズになります。
奥行についても同様で、壁から食器棚の前面までの距離を測り、そこから冷蔵庫の出っ張りや扉の開閉スペースを差し引いて考える必要があります。特に冷蔵庫がある場合、冷蔵庫の奥行が約70cmあり、さらに背面の放熱スペースも必要なため、その部分だけ食器棚よりも前に出てくることになります。冷蔵庫の位置も含めて、全体のバランスを考えましょう。
高さについては、天井までのクリアランスを確認してください。特にマンションや建売住宅では、室内に梁が出ている場合があり、梁に干渉してギリギリで入らないというケースもあります。搬入経路(玄関ドア、廊下、部屋の入口など)の寸法も測っておくと安心です。
さらに、「動く部分」の干渉にも注意が必要です。食器棚の扉を開いた時、引き出しを引き出した時、冷蔵庫のドアを開けた時など、それぞれが干渉しないかをシミュレーションしてみましょう。特に開き戸タイプの食器棚は、扉を開けた時に通路を塞いでしまうことがあるため、通路幅が狭い場合は引き戸タイプや引き出しタイプを検討するのも一つの方法です。
通路幅と作業動線
キッチンの通路幅は、食器棚のサイズを決める上で非常に重要な要素です。前述したように、1人で使う場合は最低60cm、できれば80cmから90cm、家族世帯で複数人が使う場合は100cmから120cmを目安にしてください。
通路幅を決める際には、「食器棚の前で立っても、後ろを人が通れるか」という実際の動きをイメージすることが大切です。例えば、朝食の準備中に、家族が冷蔵庫にジュースを取りに来る、子どもがゴミ箱にゴミを捨てに来るといったシーンを想定してみましょう。
また、食器棚やキッチンの収納を開けた状態でも通路が確保できるかも重要なポイントです。引き出しを限界まで引き出した時、扉を全開にした時、それぞれの状態で通路幅がどれくらい残るかを確認してください。フルオープンレール(引き出しを完全に引き出せる機能)を採用した引き出しなら、重たい食器を入れていても簡単に引き出せますが、その分、引き出した時の飛び出しも大きくなります。
ワークトライアングルについても意識しましょう。ワークトライアングルとは、キッチンのコンロ、シンク、冷蔵庫を結んだ三角形の作業動線のことで、正三角形に近いほど作業の効率がよいとされています。食器棚の配置によってこのワークトライアングルが崩れないよう、全体のレイアウトを考えることが大切です。
通路幅が広すぎても問題があります。通路幅が150cmを超えると、移動するための歩数が多くなり、使いにくいキッチンになってしまうおそれがあります。シンク、コンロ、冷蔵庫、背面収納などキッチン内では移動しながら作業をするため、動線をなるべくコンパクトにすることも使いやすさのポイントです。
「これから増えるもの」も含めた余裕の持たせ方
食器棚のサイズを決める際、現在持っている食器や家電の量だけで判断するのではなく、「これから増えるもの」も含めて考えることが重要です。特に子どもがいる家庭では、成長とともに食器や調理グッズが増えていきます。
子どもの成長に伴って増えるものとしては、お弁当箱、水筒、学校関係の食器(給食セット、お弁当袋など)、部活用の大きな水筒、保存容器(作り置きや持ち帰り用)などがあります。小学生になると遠足や運動会でお弁当が必要になり、中学生・高校生になると毎日のお弁当作りが始まります。そのため、お弁当箱も複数個、水筒も大小さまざまなサイズが必要になります。
また、ライフスタイルの変化によっても必要な食器や調理器具は変わってきます。例えば、ホームパーティーをする機会が増えれば、大皿や来客用の食器が必要になります。健康志向が高まれば、ミキサーやジューサー、ヨーグルトメーカーなどの調理家電が増えるかもしれません。
4人家族で食器が50枚から60枚が目安と言われていますが、これはあくまで標準的な枚数です。料理が好きな方、食器集めが趣味の方、来客が多い方などは、さらに多くの食器を持つことになります。ライフスタイルによって変動するため、少し余裕を持ったサイズを選ぶことをおすすめします。
具体的には、現在の食器量で「8割くらいの収納で収まるサイズ」を選ぶと良いでしょう。例えば、現在持っている食器がぎりぎり収まるサイズではなく、2割程度の余裕があるサイズを選ぶことで、将来的に食器や家電が増えても対応できます。
ただし、余裕を持たせすぎて大きすぎる食器棚を選ぶと、設置スペースや通路幅の問題が出てきます。そのため、食器棚本体のサイズはほどほどにして、パントリーや他の収納スペースを併用するというバランスの取り方も検討してください。
4人家族の食器棚サイズの選び方まとめ
ここまで、4人家族の食器棚サイズについて、さまざまな角度から解説してきました。最後に、記事全体の要点を整理してまとめます。
サイズの基本を押さえる
4人以上の家族なら、幅120cm以上が一つの基準となります。ただし、家電やゴミ箱も一緒に置くなら140cmから160cm、ゆとりを重視するなら180cmも選択肢に入ってきます。一般的には、レンジボードタイプで4人家族なら140cmから160cmが必要という意見が多く、これが標準的なサイズといえるでしょう。
奥行については、40cmから45cmが標準で、家電も置くなら45cm以上を検討してください。特に大型の電子レンジやスチームオーブンレンジを置く予定がある場合は、50cm以上の奥行があると安心です。高さは180cmから200cmが一般的ですが、天井までのクリアランスも考慮して選びましょう。
通路幅を最優先に考える
食器棚のサイズを決める際、最も重要なのはキッチンの通路幅です。1人で使う場合は最低60cm、できれば80cmから90cm、家族世帯で複数人が使う場合は100cmから120cmを目安にしてください。通路幅が狭すぎると日々の調理作業にストレスを感じ、広すぎると無駄な動きが増えて作業効率が落ちます。
キッチンカウンターの奥行が65cm、食器棚の奥行が45cmの場合、この2つの間の通路幅を確保することが基本ですが、冷蔵庫の奥行(約70cm)や扉の開閉スペースも含めて考える必要があります。実際の使用シーンをイメージして、「食器棚の前で立っても、後ろを人が通れるか」を確認しましょう。
持ち物から逆算する
食器枚数は4人家族で50枚から60枚前後のケースが多く、さらに家電やゴミ箱も含めて「何をどこにしまうか」から逆算することが大切です。現在持っている食器や家電をリストアップして、それらがきちんと収まるサイズを選びましょう。
ただし、現在の食器量だけでなく、子どもの成長や ライフスタイルの変化によって増えるものも考慮してください。お弁当箱、水筒、保存容器、季節の器など、これから増える可能性のあるアイテムも含めて、少し余裕を持ったサイズを選ぶことをおすすめします。
間取りタイプに合わせて選ぶ
壁付けキッチン、対面キッチン、造作キッチンなど、キッチンの間取りタイプによっても最適な食器棚のサイズは変わってきます。壁付けキッチンではダイニングテーブルとの距離も考慮し、対面キッチンでは通路幅とダイニングスペースのバランスを取る必要があります。
造作キッチンや引き出し収納メインの場合は、食器棚を小さくする代わりにキッチン本体の収納やパントリーを活用するという発想も大切です。間取り全体のバランスを見ながら、最適なサイズとレイアウトを決めましょう。
購入前のチェックを怠らない
設置スペースの幅・奥行・高さを実測し、実寸からマイナス5cm程度の余裕を見てサイズを決めてください。扉の開閉、引き出しの飛び出し、冷蔵庫のドアなど、「動く部分」の干渉も事前にシミュレーションしましょう。
可能であれば、ショールームや完成見学会などで実物を体感してから決めることをおすすめします。実際にフライパンを振る動きや、振り向いてカップボードとの距離を測ってみると、自分にとって最適な通路幅の感覚が掴めます。
食器棚の「サイズの正解」は、家族構成だけでなく、持ち物・キッチンの広さ・料理スタイルによって変わります。一般的な目安はあくまで参考として、この記事のチェックリストを使いながら、ご自身の家の条件に合った「ちょうどいいサイズ」を見つけてください。
食器棚は一度購入すると長く使うものです。焦らず、じっくりと検討して、毎日の料理が楽しくなるような、使い勝手の良い1台を選んでくださいね。
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