借地権は売却できる?地主承諾・承諾料・相場・税金から売却手順まで完全ガイド

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「借地権って、結局売れるの?」「地主が承諾してくれなかったら、どうすればいいの?」

相続で借地権付きの建物を引き継いだ方、住み替えを考えている方、空き家になった借地の処分に困っている方——。こんな不安を抱えていませんか?

正直に言います。借地権の売却は、普通の不動産売却より手順が複雑です。地主の承諾、承諾料の交渉、買主探し、税金の計算…。ひとつ間違えると「詰む」こともあります。

でも、「借地権=売れない不動産」というのは誤解です。

実は、借地権には3つの売却ルートがあり、あなたの状況によって「最短で高く売る方法」は変わります。この記事では、どのルートがあなたに合うのか、地主に拒否されたときの対処法、税金で損しない準備まで、「売る前に知っておくべきこと」をすべて整理しました。

最後まで読めば、「次に何をすればいいか」がハッキリ見えるはずです。


結論|借地権の売却は”3つのルート”で考えると迷わない

まず結論から。借地権を売却する方法は、大きく分けて以下の3つです。

売却ルート価格の傾向スピード難易度承諾料こんな人向け
①地主に買い取ってもらうやや低め早い低い不要の場合が多い地主との関係が良好、早く現金化したい
②買取会社に売る低め早い低い必要(会社が負担する場合も)急ぎ、地主交渉が面倒、複雑な事情あり
③第三者(一般の買主)に売る高め時間がかかる高い必要時間をかけても高く売りたい

さらに、地主と協力できる場合は「底地とセットで売る」という選択肢もあります。これは借地権と底地(地主の持っている土地の権利)を合わせて「完全な所有権」として売る方法で、買主が見つかりやすく、価格も上がりやすいのが特徴です。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

①地主に買い取ってもらう——早い・シンプル・承諾料の論点になりにくい

地主が「借地権を買い取りたい」と思っているケースは意外とあります。土地を自由に使いたい、相続対策で整理したい、といった理由からです。

地主に売る場合、第三者への譲渡ではないため、承諾料が発生しないのが一般的。交渉もシンプルで、スピード感を持って進められます。

ただし、地主は「安く買いたい」と思っているのも事実。借地人側から売却を持ちかけると、交渉上の立場が弱くなり、更地価格の50%程度まで価格が下がるケースも少なくありません。逆に地主側から「買いたい」と言われた場合は、更地価格の60〜70%程度を目安に交渉できる可能性があります。

こんな方におすすめ:地主との関係が良好、早く現金化したい、承諾料を払いたくない

②買取会社に売る——早いが、価格は低め

借地権を専門に買い取る不動産会社に売る方法です。

メリットはスピードと確実性。買取会社は借地権の扱いに慣れているので、地主交渉も代行してくれることが多く、煩わしい手続きから解放されます。早ければ1〜2ヶ月で現金化できるケースもあります。

デメリットは価格が低くなりやすいこと。会社は利益を出すために買い取るので、一般の買主に売るより2〜3割安くなるのが相場です。

こんな方におすすめ:急いで現金化したい、地主と交渉したくない、空き家で管理が大変、権利関係が複雑

③第三者(一般の買主)に売る——高く売れる可能性があるが、ハードルも高い

不動産会社の仲介を通じて、一般の個人に売却する方法です。

借地権付き建物を「住まい」として探している人に売れれば、買取会社より高い価格が期待できます。条件が良ければ、更地価格の60〜70%程度で売れることもあります。

ただし、地主の承諾が必須で、承諾料(借地権価格の約10%が目安)の支払いも発生します。また、買主にとって借地権付き物件は「住宅ローンが通りにくい」「建て替えに制限がある」といったデメリットがあるため、買主探しに時間がかかることも。

こんな方におすすめ:時間をかけても高く売りたい、建物の状態が良い、立地が良い

番外編:底地とセット(底借同時売却)で”売りやすく・高く”

地主と協力できる場合、借地権と底地を一緒に売る方法があります。

借地権だけでは「土地を自由に使えない」という制約がありますが、底地と合わせれば「完全な所有権」になります。買主にとっては普通の土地と同じなので、住宅ローンも通りやすく、買主が見つかりやすい。価格も借地権単体より高くなる傾向があります。

ただし、地主との利害調整が必要で、売却代金の配分をどうするか、タイミングを合わせられるか、といった調整が発生します。地主との関係が良好で、双方に「今売りたい」という意向があるなら、検討の価値は大きいです。


そもそも借地権とは?売却が難しいと言われる理由を5分で理解

「借地権」という言葉は知っていても、いざ売却となると「何がどう複雑なのか」がピンとこない方も多いでしょう。ここでは、売却を考える上で最低限知っておきたい基礎知識を整理します。

借地権(賃借権)と地上権の違い——売りやすさが変わる

借地権には、大きく分けて2種類あります。

①賃借権(土地賃貸借契約に基づく借地権) 土地を借りて建物を建てる権利。ほとんどの借地権はこのタイプです。売却には地主の承諾が必要で、無断で譲渡すると契約を解除される可能性があります。

②地上権(物権としての借地権) 土地を直接支配する権利。登記もでき、地主の承諾なく自由に売却・譲渡できます。ただし、実際には地上権が設定されているケースはごく少数です。

この記事で扱うのは、ほとんどの方が該当する「賃借権」としての借地権です。

普通借地/定期借地/旧法借地——売却の論点が変わる

借地権は、いつ契約したかによってルールが違います。

種類特徴売却時の注意点
旧法借地権(1992年7月以前)更新が原則認められ、借地人の権利が強い契約期間の定めがなく、長期間の利用が前提。買主にとっては安心材料になることも
普通借地権(新法)存続期間30年以上、更新あり旧法より地主の権利も考慮されるが、更新は可能
定期借地権契約期間が終わると更新なし・土地を返還残存期間が短いと売りにくい。期間満了後は建物を解体して返還が原則

特に注意が必要なのは定期借地権。残り期間が10年を切ると、買主が見つかりにくくなります。「あと何年借りられるか」は、売却価格に直結するポイントです。

買主が気にするポイント——「売りにくい理由」を知っておく

借地権付き物件を買う側の立場で考えると、以下のような不安があります。

  • 住宅ローンが通りにくい:金融機関によっては、借地権付き物件への融資に消極的なところも
  • 地主の承諾が必要な場面が多い:建て替え、増改築、売却時など、そのたびに承諾料が発生する可能性
  • 地代がかかる:土地を所有しているわけではないので、毎月(または年払いで)地代を支払い続ける
  • 更新や建て替えの不安:将来、地主が承諾してくれるか分からない

これらの「買主が嫌がるポイント」をあらかじめ把握し、説明できるようにしておくと、売却がスムーズになります。


借地権はいくらで売れる?”相場”の考え方

「結局いくらで売れるの?」——これが一番気になるところですよね。

結論から言うと、借地権の相場は「一律○○万円」とは言えません。売却先、立地、建物の状態、地主との関係、残存期間など、さまざまな要素で価格は上下します。

売却先で価格が変わる

先ほどの3つのルートで、価格の目安は以下のように変わります。

売却先価格の目安(更地価格比)
地主(借地人から持ちかけ)40〜50%程度
地主(地主から持ちかけ)60〜70%程度
買取会社40〜60%程度
第三者(一般の買主)50〜70%程度
底地とセット(同時売却)合わせて80〜100%程度

あくまで目安であり、個別の条件によって大きく変わります。複数の不動産会社から査定を取り、比較することが大切です。

借地権価格の「目安」の作り方

借地権の評価でよく使われるのが、国税庁が定める「借地権割合」です。

路線価図(国税庁ホームページで公開)を見ると、道路ごとに「A〜G」のアルファベットが記載されています。これが借地権割合で、たとえば「C」なら70%、「D」なら60%といった具合です。

借地権価格(評価額)= 更地価格 × 借地権割合

たとえば、更地価格が3,000万円、借地権割合が60%(D)の場合、 3,000万円 × 60% = 1,800万円 が借地権の評価額の目安になります。

ただし、これはあくまで相続税や贈与税の計算に使う評価額であり、実際の売却価格とは異なることが多いです。実勢価格は、これより低くなるケースがほとんどです。

価格が上下する条件

以下のような要素で、実際の売却価格は変動します。

価格が上がりやすい条件

  • 立地が良い(駅近、商業地など)
  • 建物の状態が良い(築浅、リフォーム済み)
  • 地代が相場より安い
  • 地主との関係が良好(承諾が取りやすい)
  • 残存期間が長い(普通借地・旧法借地)

価格が下がりやすい条件

  • 立地が悪い(郊外、需要が少ないエリア)
  • 建物が老朽化している(解体費用がかかる)
  • 地代が相場より高い
  • 地主との関係が悪い(承諾が取りにくい、揉めている)
  • 残存期間が短い(定期借地で残り10年以下など)
  • 接道義務を満たしていない(再建築不可)

地主の承諾と承諾料(名義書換料)|拒否されたらどうする?

借地権売却で最大のハードルが「地主の承諾」です。ここを乗り越えられるかどうかで、売却の成否が決まると言っても過言ではありません。

承諾が必要なケース/不要なケース

まず、「どんな場合に地主の承諾が必要なのか」を整理しましょう。

ケース承諾の要否
第三者への売却(譲渡)必要
贈与(親族・友人などへの無償譲渡)必要
遺贈(遺言による法定相続人以外への譲渡)必要
相続(法定相続人への承継)不要(※)
離婚による財産分与不要
借地上の建物を第三者に賃貸不要

※相続で借地権を引き継ぐ場合、法的には地主の承諾は不要で、承諾料(名義書換料)を支払う義務もありません。ただし、地主との良好な関係を維持するため、相続があったことを報告し、今後の契約関係を確認しておくのが実務上は望ましいです。

承諾料(名義書換料)の考え方

第三者に売却する場合、地主に支払う「承諾料」の相場は借地権価格の約10%が目安とされています。

たとえば、借地権価格が1,800万円の場合、 1,800万円 × 10% = 180万円 が承諾料の目安になります。

ただし、法律で金額が決まっているわけではなく、地主との交渉で決まります。地域の慣習や過去の経緯によって異なることもあるので、「10%」は交渉のスタートラインと考えてください。

承諾料は、借地契約書に特約がなければ、売主(借地人)が負担するのが一般的です。ただし、買主との交渉で負担を分け合うケースもあります。

地主に伝える順番——買主を探す前に言うべき?

ここは非常に重要なポイントです。

原則として、買主を探す前に地主へ売却意向を伝えるべきです。理由は以下のとおり。

  • 事後報告はトラブルの元になる
  • 地主が買い取りを希望する可能性がある(第三者への譲渡より高く売れることも)
  • 承諾条件(承諾料、地代の改定など)を事前に把握できる
  • 買主が決まってから承諾を拒否されると、売買契約が流れてしまう

ただし、「いくらで売るか」「誰に売るか」まで詳細に伝える必要はありません。まずは「借地権の売却を考えています」という意向だけを伝え、承諾の可否と条件を確認するのが賢明です。

【地主への伝え方——台本例】

「○○様、いつもお世話になっております。実は、諸事情により借地権付きの建物を売却することを検討しておりまして、ご相談させていただきたいのですが、お時間をいただけますでしょうか。」

「売却先についてはまだ決まっておりませんが、地主様に優先的にお声がけさせていただきたいと考えております。お買い取りをご検討いただけるか、あるいは第三者への譲渡をご承諾いただけるか、ご意向をお聞かせいただければ幸いです。」

いきなり「承諾してください」と迫るのではなく、相談ベースで話を始めるのがポイント。長年の関係を壊さないよう、丁寧な姿勢を見せることが大切です。

拒否されたときの現実的な打ち手

では、地主が承諾を拒否した場合はどうすればいいのでしょうか。

ステップ1:理由を確認し、条件調整で交渉する

地主が拒否する理由として多いのは、以下のようなものです。

  • 承諾料が安すぎると感じている
  • 新しい借地人に不安がある(資力、人柄)
  • 自分で買い取りたい(でも提示価格が合わない)
  • 地代を改定したい

理由が分かれば、条件調整の余地があります。「承諾料を少し上乗せする」「地代の見直しに応じる」「譲渡先の情報を開示する」といった譲歩で、承諾が得られるケースもあります。

ステップ2:借地権に強い専門家(不動産会社・弁護士)に相談する

当事者同士の交渉で行き詰まったら、専門家の力を借りましょう。借地権に精通した不動産会社や弁護士であれば、地主との交渉を代行したり、法的なアドバイスをもらえます。

ステップ3:裁判所の「借地非訟手続き」を利用する

交渉しても承諾が得られない場合、最終手段として「借地非訟」という裁判所の手続きがあります。

借地借家法19条では、「第三者が借地権を取得しても地主に不利にならないにもかかわらず、地主が承諾しない場合」には、裁判所が地主の承諾に代わる許可を出せると定められています。

借地非訟の特徴は以下のとおりです。

  • 審理期間は6ヶ月〜1年程度(通常の裁判より短い)
  • 裁判所が承諾料の金額も決める
  • 弁護士に依頼するのが一般的(費用は数十万円〜)
  • 地主には「介入権」(自ら借地権を買い取る権利)がある

借地非訟は「最後の手段」ですが、「どうしても地主が応じてくれない」という場合には、売却を諦めなくて済む制度として覚えておいてください。

【承諾料が高いと言われたときの台本例】

「ご提示いただいた金額について、少し検討させていただきたいのですが、一般的には借地権価格の10%程度が目安と聞いております。○○様のお考えもあるかと思いますが、こちらの事情もありますので、お互いが納得できる金額で折り合えればと考えております。いかがでしょうか。」

感情的にならず、冷静に「相場」を伝えつつ、歩み寄りの姿勢を見せるのがポイントです。


売却の流れ|最短で進める手順と必要書類チェックリスト

ここからは、借地権売却の具体的な流れを解説します。

ステップ0:契約書と履歴を集める

まず最初にやるべきことは、手元にある書類を確認すること。以下の書類が揃っているかチェックしてください。

【必要書類チェックリスト】

書類名何に使う?無い場合の対処
借地契約書(土地賃貸借契約書)契約内容の確認、査定の基礎資料地主・仲介した不動産会社に写しを依頼
更新覚書・合意書更新の経緯、残存期間の確認口頭更新の場合は経緯をメモで整理
過去の承諾書類(建替え・増改築など)契約条件の確認地主に確認
地代の領収書・振込明細地代の金額、滞納の有無の証明通帳記帳、銀行に取引履歴を請求
建物の登記簿謄本建物の所有者、抵当権の確認法務局で取得(オンライン可)
建物図面・間取り図査定、買主への説明建築時の図面がなければ実測
固定資産税・都市計画税の納税通知書建物の評価額、税金の計算市区町村の税務課で発行

書類が見つからない場合の探し方

  • 親から相続した場合:遺品整理で出てくることも。金庫、重要書類の棚、銀行の貸金庫をチェック
  • 過去の契約書:地主や当時の仲介不動産会社に写しを依頼
  • 借地契約の内容が不明:法務局で「土地」の登記簿謄本を取り、地上権や賃借権の登記があるか確認

ステップ1:借地権に強い不動産会社へ相談(複数査定)

書類が揃ったら、借地権の取り扱いに慣れた不動産会社に相談しましょう。

借地権は専門性が高いため、一般的な不動産会社では対応できないことも多いです。ホームページで「借地権」「底地」のキーワードが出てくる会社、実績を公開している会社を選ぶのがポイント。

必ず複数社(最低3社)から査定を取ることをおすすめします。会社によって査定額が数百万円違うことも珍しくありません。

ステップ2:地主交渉(承諾条件・承諾書)

売却先の目処がついたら、地主との交渉に入ります。

交渉で合意した内容は、必ず「借地権譲渡承諾書」として書面化しておきましょう。口約束だけだと、後で「言った・言わない」のトラブルになります。

承諾書に記載すべき項目は以下のとおりです。

  • 譲渡を承諾する旨
  • 譲渡先(買主)の氏名・住所
  • 承諾料の金額と支払期限
  • 譲渡後の地代の金額(改定がある場合)
  • 今後の契約条件(建替え承諾の扱いなど)

承諾書の作成は、できれば借地権に詳しい不動産会社や弁護士に依頼するのが安心です。

ステップ3:売買契約→決済→名義変更

地主の承諾が取れたら、買主との売買契約を締結します。

借地権付き建物の売買契約には、通常の売買契約に加えて以下のような特約を入れることが多いです。

  • 「地主の借地権譲渡承諾書が交付されることを停止条件とする」
  • 「承諾が得られなかった場合は契約を解除できる」

決済日には、売買代金の受け取りと同時に、建物の所有権移転登記を行います。借地権自体は登記されていないことが多いですが、建物の登記が移転すれば、借地権も買主に移ったことになります。


税金・費用|譲渡所得の考え方と”損しない準備”

借地権を売却して利益が出た場合、譲渡所得税がかかります。ここでは、税金の基本的な考え方と、損しないための準備を解説します。

譲渡所得の基本式

譲渡所得は、以下の式で計算します。

譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除

  • 売却価格:借地権付き建物の売却代金
  • 取得費:借地権や建物を取得するためにかかった費用
  • 譲渡費用:売却するためにかかった費用
  • 特別控除:一定の条件を満たすと適用される控除(マイホーム特例など)

譲渡所得がプラスになった場合、所有期間に応じて以下の税率で課税されます。

所有期間(譲渡した年の1月1日時点)税率(所得税+住民税)
5年以下(短期譲渡)約39%(所得税30%+住民税9%)
5年超(長期譲渡)約20%(所得税15%+住民税5%)

※復興特別所得税(所得税額の2.1%)が別途加算されます。

取得費に入りやすいもの/入りにくいもの

「取得費」を正しく計上することで、譲渡所得を圧縮し、税金を減らせます。

取得費に入るもの(借地権関連)

  • 借地契約時に支払った権利金
  • 更新料
  • 建替え・増改築承諾料
  • 借地権取得時の仲介手数料
  • 土地の整地費用(地盛り、地ならし等)

取得費に入るもの(建物関連)

  • 建物の購入代金・建築代金
  • 購入時の仲介手数料
  • 登録免許税、不動産取得税
  • 設備費、改良費

取得費に入らないもの

  • 地代(毎月の支払い)
  • 固定資産税(建物の維持にかかる費用)
  • 修繕費(資本的支出でない通常の修繕)

売却時の譲渡費用に入るもの

  • 売却時の仲介手数料
  • 地主への譲渡承諾料(名義書換料)
  • 売買契約書の印紙代
  • 建物の解体費用(更地にして売る場合)

参照:国税庁「No.3252 取得費となるもの」「No.3255 譲渡費用となるもの」

取得費が分からない場合の対処

相続で引き継いだ借地権などで、取得費(親が支払った権利金など)が分からない場合があります。

この場合、売却価格の5%を「概算取得費」として計上できます(国税庁 No.3258)。

たとえば、売却価格が2,000万円の場合、 2,000万円 × 5% = 100万円 を取得費として計算します。

ただし、実際の取得費が5%より高い場合は、領収書や契約書を探して証明した方が税金を減らせます。

領収書の探し方

  • 親の遺品(契約書、領収書、通帳)
  • 当時の仲介不動産会社
  • 地主(過去の承諾料の記録)
  • 銀行(振込記録)

マイホーム特例(3,000万円特別控除)

借地権付き建物が自分の居住用(マイホーム)であった場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。

主な要件は以下のとおりです。

  • 自分が住んでいた家屋であること
  • 住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに売ること
  • 特別な関係者(親族など)への売却でないこと
  • 過去2年以内にこの特例を受けていないこと

要件は複雑なので、詳細は国税庁のホームページまたは税理士に確認してください。

参照:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」


トラブル事例と回避策——読むだけで地雷を踏まない

借地権売却でよくあるトラブルと、その回避策を紹介します。

無断譲渡——最悪、契約解除に

事例:買主が見つかり、「後で地主に報告すればいいだろう」と、承諾を得ないまま売買契約を締結・決済。その後、地主に発覚し、借地契約を解除されてしまった。

回避策:借地権の譲渡には地主の承諾が必須です。承諾なしの譲渡は契約違反であり、地主は借地契約を解除できます(民法612条)。必ず承諾を得てから売買契約を締結しましょう。

承諾料の口約束——後で金額を吊り上げられる

事例:地主と口頭で「承諾料は100万円でいい」と合意したが、いざ決済直前になって「やっぱり200万円にしてほしい」と言われ、トラブルに。

回避策:承諾の条件は必ず書面(借地権譲渡承諾書)に残すこと。金額、支払期限、その他の条件を明記し、地主と借地人の双方が署名捺印しておきましょう。

地代滞納——承諾以前の問題に

事例:地代を数ヶ月滞納していた状態で売却を申し出たところ、地主から「滞納分を清算しない限り承諾しない」と言われ、売却が進まなくなった。

回避策:売却を考える前に、地代の滞納がないか確認しましょう。滞納があれば、まず清算することが先決です。地代滞納が続くと、そもそも借地契約を解除されるリスクがあります。

買主トラブル——ローンが通らない、建替え不可を知らなかった

事例:買主が住宅ローンの審査に落ち、売買契約が白紙に。また、買主が「建替えできると思っていた」のに、地主が建替え承諾を出さず、引き渡し後にクレームが来た。

回避策:借地権付き物件は、ローン審査が通りにくいことを事前に説明しておきましょう。また、建替えや増改築には地主の承諾が必要であること、その承諾が得られる保証はないことも、重要事項説明で明確に伝える必要があります。


状況別|あなたの”おすすめルート”早見表

最後に、よくある状況別の「おすすめルート」を整理しました。

あなたの状況おすすめルートポイント
急いで現金化したい買取会社スピード重視。1〜2ヶ月で現金化も可能
相続で引き継いだばかりまず査定→地主に相談相続自体には承諾不要。売却するなら複数社査定から
空き家で管理が大変買取会社または地主への売却管理費・固定資産税の負担を早く解消
地主との関係が悪い借地権に強い不動産会社・弁護士に相談専門家を間に入れ、必要なら借地非訟も視野に
更新が近い(旧法・普通借地)更新後に売却を検討更新後の方が残存期間が長くなり、売りやすい
残存期間が短い(定期借地)早めに動く。地主との同時売却も検討期間が短いほど価値が下がる。期間満了前に売却を
高く売りたい、時間はある第三者への売却(仲介)承諾料はかかるが、価格は高くなりやすい
地主と仲が良い、協力できそう底地とセットで売却「完全な所有権」として売れるので、価格も買主も見つかりやすい

まとめ|借地権の売却で迷わないための要点

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。最後に、借地権売却のポイントを振り返っておきましょう。

借地権売却の5つの要点

  1. 借地権は「売れない」わけではない。売却ルートは3つ(地主/買取会社/第三者)+底地とのセット売却がある
  2. 第三者への売却には地主の承諾が必須。相続なら承諾不要だが、売却には必要
  3. 承諾料の相場は借地権価格の約10%。ただし交渉次第。必ず書面化を
  4. 地主が承諾しない場合は「借地非訟」という裁判所の手続きがある。最後の手段として覚えておく
  5. 税金で損しないために、取得費・譲渡費用の証拠(領収書・契約書)を集めておく

次にやること3つ

  1. 手元の書類を確認する:借地契約書、更新覚書、地代の記録を探す
  2. 借地権に強い不動産会社に複数査定を依頼する:最低3社から見積もりを取る
  3. 地主に売却意向を伝え、承諾条件を確認する:買主を探す前に、承諾の可否と条件を把握

借地権の売却は、普通の不動産より手間がかかるのは事実です。でも、正しい手順を踏めば、必ず「売れる道」は見つかります。

まずは一歩、動き出してみてください。

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