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「フランチャイズで独立開業したい!でも、ロイヤリティって結局何?」
「ロイヤリティは低いほど得だって聞くけど、本当にそう?」
「『ロイヤリティは〇%』と言われても、それが妥当なのか、最終的にいくら払うことになるのか、全然イメージが湧かない…」
そう感じているあなたは、まさに今、フランチャイズ(FC)ビジネスの核心である「ロイヤリティ」という壁に直面しているはずです。ロイヤリティは、FC本部が提供するブランド力、経営ノウハウ、研修、システムといった「パッケージ」を利用する対価として、加盟者が本部に支払う費用です。これは、事業の収益性を左右する、最も重要なランニングコストと言っても過言ではありません。
しかし、「売上歩合」「粗利分配」「定額」といった複雑な計算方式、業種ごとの相場の違い、そして「ロイヤリティ率が低いのに、なぜか手元にお金が残らない…」といった“落とし穴”が存在するため、表面的な数字だけで判断してしまうと、後々「こんなはずじゃなかった」と後悔することになりかねません。
この記事は、そんなあなたの疑問と不安をすべて解消するための「フランチャイズ ロイヤリティ 完全理解ガイド」です。日本フランチャイズチェーン協会(JFA)や公正取引委員会、中小企業庁といった公的機関の一次情報を土台に、ロイヤリティの定義、計算方式、業種別の相場レンジ、そして「廃棄ロス」「広告分担」「最低保証」といった見落としがちな“落とし穴”を徹底的に整理します。
さらに、あなたの事業計画に合わせて具体的なシミュレーションができる「損益シミュレーター」と、契約前に必ず確認すべき「チェックリスト」を提示。この記事を読めば、あなたはロイヤリティの仕組みを完全に理解し、「%は低いのに赤字…」といったリスクを回避し、事業を確実に黒字化へと導くための賢い判断ができるようになるはずです。さあ、成功への第一歩を、ここから踏み出しましょう。
ロイヤリティの基本:定義と役割、そして3つの主要な計算方式
フランチャイズビジネスを理解する上で、ロイヤリティの概念は避けて通れません。まずは、その本質的な意味と、主要な計算方式を正確に把握しましょう。
1. ロイヤリティ=パッケージ対価(ブランド/ノウハウ/支援)。JFAの定義を確認(2025年9月30日確認)
- 定義:
- 「ロイヤリティ」とは、フランチャイズ加盟者が、フランチャイズ本部から提供される「包括的なビジネスパッケージ」を利用する対価として、本部に継続的に支払う費用のことです(出典: 日本フランチャイズチェーン協会(JFA)「フランチャイズ・システムの導入の手引き」など)。
- 「ビジネスパッケージ」に含まれるもの:
- ブランド使用権: 本部が長年培ってきた企業名、商標、ロゴの使用。これにより、開業当初から高い知名度と信頼性を得られます。
- 経営ノウハウ: 店舗運営、商品開発、サービス提供、従業員教育など、本部が持つ成功のための実践的な知識と技術。
- 継続的な支援: 開業前の研修、物件選定支援、資金調達アドバイス、開業後のスーパーバイザーによる巡回指導、集客・販促支援、仕入れシステムの提供など。
- システム提供: 会計システム、POSシステム、電子カルテシステムなど、効率的な事業運営に必要な各種ITシステム。
- なぜロイヤリティが必要なのか?
- ロイヤリティは、加盟者がゼロから事業を立ち上げるリスクや手間を大幅に軽減し、成功への道をサポートしてくれる「パッケージ」に対する正当な対価です。
- 本部側は、ロイヤリティ収入を元に、ブランド強化のための広告宣伝、商品開発、システム改善、加盟店へのサポート体制維持などを継続的に行い、FCシステム全体の発展に投資しています。
2. 3つの主要計算方式(売上歩合/粗利分配/定額)と、飲食業の一般的レンジ
ロイヤリティの計算方式は、主に「売上歩合方式」「粗利分配方式」「定額方式」の3種類があります。どの方式が採用されているかによって、あなたの収益構造は大きく変わります。
- 計算式:「売上高 × 契約で定められた料率(%)」
- 例: 月間売上200万円で料率5%の場合 → ロイヤリティ10万円
- 特徴:
- 最も一般的: 多くのフランチャイズチェーンで採用されている、最もポピュラーな方式です。
- 売上が増えるほど支払いが増える: 儲かれば儲かるほどロイヤリティも増えますが、本部側からすると、加盟店が頑張ればその分本部も潤うため、双方のモチベーションが連動しやすいと言えます。
- 飲食業の一般的レンジ(2025年9月30日確認 – MoneyForward Bizなど):
- 3%〜10%程度
- メリット:
- 分かりやすい: 売上高が明確なため、計算がシンプルで分かりやすいです。
- 本部との一体感: 売上向上の目標が本部と加盟店で共有されやすいです。
- デメリット:
- 売上が伸びても利益が出ない場合: 売上は高くても、原価や人件費などの経費がかさみ、粗利や利益が少ない場合でも、売上に応じたロイヤリティを支払う必要があります。
- 小規模事業では負担が大きいことも: 売上規模が小さいと、売上に対するロイヤリティの割合が相対的に高くなり、負担に感じる場合があります。
- 向いている業種: 飲食業、小売業、サービス業など、売上高が明確で、粗利率が安定している業種。
- 計算式:「粗利益(売上高 − 売上原価) × 契約で定められた料率(%)」
- 例: 月間売上200万円、原価80万円(粗利益120万円)で料率30%の場合 → ロイヤリティ36万円
- 特徴:
- 特にコンビニエンスストア業界で多く採用されています。
- 「粗利益」を本部と加盟店で分け合うという考え方に基づいています。
- 飲食業の一般的レンジ(2025年9月30日確認 – FC比較ネットなど):
- 30%〜70%程度(ただし、コンビニなどでは非常に高い料率に見えるが、本部が多くの経費を負担する仕組みになっているため、一概に比較はできません。)
- メリット:
- 利益に応じた支払い: 売上原価を差し引いた「粗利益」を基準にするため、売上は高くても原価がかさんだ場合に、ロイヤリティの負担が軽減されるという、加盟店に優しい側面があります。
- 本部とのリスク共有: 本部も売上原価の変動リスクを一部共有することになります。
- デメリット:
- 計算が複雑: 売上原価の定義や計算方法が複雑になることがあります。本部指定の仕入れ方法や価格が適用される場合が多いです。
- 加盟店の裁量: 仕入れや廃棄による粗利の調整が、ロイヤリティに直接影響するため、加盟店の粗利管理能力が問われます。
- 向いている業種: コンビニエンスストア、スーパーマーケットなど、商品仕入れが事業の中心で、在庫管理や廃棄ロスが収益に大きく影響する業種。
- 計算式:「毎月、契約で定められた一定額」
- 例: 月間売上に関わらず、毎月10万円
- 特徴:
- 売上規模が比較的小さい業種や、初期の立ち上げ期に採用されることが多いです。
- 飲食業の一般的レンジ(2025年9月30日確認 – MoneyForward Bizなど):
- 5万円〜20万円程度
- メリット:
- 分かりやすい: 毎月支払う金額が固定されているため、資金計画が立てやすいです。
- 売上が伸びるほど有利: 売上が増えてもロイヤリティは一定のため、売上が大きく伸びた場合に、加盟店の利益率が高まります。
- デメリット:
- 売上が低いと負担が大きい: 売上が低い場合でも、一定額のロイヤリティを支払う必要があるため、開業当初や不況時には負担が大きくなる可能性があります。
- 本部側のリスク: 本部側は、加盟店の売上が伸びなくてもロイヤリティ収入が一定のため、売上低迷のリスクを本部が負うことになります。
- 向いている業種: 学習塾、清掃業、パーソナルジムなど、役務提供型で、売上高が人員数や時間単価に依存する業種や、開業初期の加盟店。
業種別の相場レンジ(最新目安)|あなたのビジネスはいくら?
ロイヤリティの相場は、業種によって大きく異なります。これは、本部が提供するパッケージの内容(ブランド力、システム、サポートの頻度など)や、その業種の粗利率、競争環境などが影響するためです。
方式別×業種別の相場早見表(2025年9月30日確認)
業種 \ 方式 | 売上歩合方式 | 粗利分配方式 | 定額方式 |
飲食業 | 3%〜10% (例: ラーメン、カフェ) | – | 5万円〜20万円 (例: 居酒屋、フランチャイズレストラン) |
小売業 | 3%〜6% (例: パン屋、雑貨店) | – | 3万円〜10万円 (例: 特定商品専門小売) |
サービス業 | 10%〜15% (例: 美容室、リラクゼーション、清掃) | – | 3万円〜15万円 (例: 介護、清掃、フィットネス) |
学習塾・教育 | 10%〜30% (例: 個別指導、英語教室) | – | 5万円〜20万円+生徒数に応じた変動費 (例: 〇人目以降加算) |
コンビニ | – | 概ね30%〜70% (例: 大手コンビニエンスストア) | – |
上記は2025年9月30日時点の一般的な相場目安です(出典: Coverallコラム、MoneyForward Biz、FC Platformなど)。ただし、ロイヤリティは個々のフランチャイズ契約内容によって大きく異なるため、必ず募集資料や契約書でご確認ください。
各業種のロイヤリティの背景と注意点
- 飲食業:歩合3%〜10%/定額5万〜20万円の目安と向き不向き
- 背景: 食材原価が売上に占める割合が大きいため、売上歩合方式では料率が比較的低めです。本部が提供するレシピや仕入れシステム、ブランド力が重要になります。
- 向き不向き:
- 売上歩合: 高回転で客単価が安定している業態(ラーメン、ファストフードなど)に向いています。
- 定額: 開業初期や、客単価が高く売上予測が立てやすい業態(高級レストランなど)に向いています。
- 注意点: 食材の廃棄ロスが利益に直結するため、厳密な在庫管理が求められます。
- 小売業:歩合3%〜6%・定額例
- 背景: 商品の仕入れが主なコストとなるため、売上歩合方式が一般的です。本部からの商品供給システムや、店舗運営ノウハウがロイヤリティの対価となります。
- 注意点: 売上高がそのままロイヤリティに反映されるため、粗利率が低い商品の場合、手元に残る利益が少なくなる可能性があります。
- サービス業:10%〜15%の事例や高率業種(清掃等)
- 背景: 物販と異なり、提供する「役務」に原価がほとんどかからないため、売上に対するロイヤリティの料率が飲食や小売に比べて高めになる傾向があります。本部からの教育プログラム、集客支援、システム提供がロイヤリティの主たる対価です。
- 注意点: 人件費が最大のコストとなるため、いかに効率的に人員を配置し、稼働率を高めるかが重要です。
- 学習塾・教育:10%〜30%の背景(教材開発/カリキュラム)
- 背景: カリキュラム、教材、指導ノウハウ、進路指導システムなど、本部が提供する「教育コンテンツ」の価値が非常に高いため、ロイヤリティの料率も高めです。定額方式と生徒数に応じた変動費を組み合わせるケースもあります。
- 注意点: 生徒募集が事業の生命線となるため、本部が提供する集客支援やブランド力が非常に重要ですし、生徒が減ると固定のロイヤリティが重荷になることも。
- コンビニ:粗利分配(概ね30%〜70%)のロジック
- 背景: コンビニエンスストアは、商品の仕入れ(本部指定)から在庫管理、廃棄ロスまで、本部が深く関与する業種です。本部は商品を加盟店に販売するのではなく、商品を供給し、その「粗利益」を加盟店と分け合うという特殊な契約形態です。本部は商品の価格決定権を持ち、加盟店は本部指定の仕入れをしなければなりません。
- 注意点: 見かけ上のロイヤリティ率(30%〜70%)は高く見えますが、本部側が光熱費の一部を負担したり、システム費用を負担したりするなど、加盟店側の経費を本部が一部負担する仕組みになっていることも多いため、一概に他の方式と比較することはできません。契約内容を細部まで理解することが不可欠です。
「落とし穴」を数で見る:契約前に必ず確認すべきこと
ロイヤリティ率の数字だけを見て契約すると、後で思わぬ追加費用や負担に直面することがあります。特に以下の「落とし穴」は、契約前に必ず確認しましょう。
1. 廃棄/棚卸ロス/返品の扱いは“算定基礎に含む/除く”(粗利分配の場合)
- 落とし穴のメカニズム: 粗利分配方式の場合、「粗利益(売上 − 原価)」がロイヤリティの算定基礎となります。しかし、この「原価」の定義に、廃棄ロス、棚卸ロス、返品などが含まれるか含まれないかで、ロイヤリティの金額が大きく変わります。
- 例: 廃棄ロスが原価に含まれない場合、廃棄が増えるほど粗利益が減り、その結果ロイヤリティも減ると勘違いしがちですが、実際は廃棄分は加盟店の全負担となり、粗利益から引かれずロイヤリティは高くなります。
- 影響度: 特にコンビニエンスストアなど、食品廃棄が多い業種では、この定義が経営に与える影響は甚大です。
- 対策:
- 契約書で「粗利益の計算方法」を徹底的に確認する。 廃棄ロスや棚卸ロス、返品が、売上原価に含まれるのか、含まれないのか、明確に確認しましょう。
- 本部から提示される「事業収支シミュレーション」の原価計算に、これらの要素が含まれているかを確認する。
- 本部担当者へ具体的な質問: 「廃棄が出た場合、ロイヤリティの計算はどうなりますか?」と具体的に質問し、納得いくまで説明を求めましょう。
2. ロイヤリティ以外の本部費用(販促費分担、システム利用料、研修費など)
- 落とし穴のメカニズム: ロイヤリティ以外にも、本部へ支払う費用が複数存在する場合があります。
- 販促費分担: 本部が行う広告宣伝費や、キャンペーン費用の一部を、加盟店が負担するケース(例: 月額〇万円、または売上の〇%)。
- システム利用料: POSシステム、会計システム、顧客管理システムなどのITシステムの月額利用料が、ロイヤリティとは別に請求されるケース。
- 研修費: 開業後の追加研修や、スーパーバイザーの訪問費用などが、別途請求されるケース。
- 指定仕入費用: 本部指定の業者からの仕入れが義務付けられ、その価格が市場価格より高い場合、実質的なコストアップに繋がります。
- 影響度: これらの費用が積み重なると、月々の固定費が大幅に増加し、ロイヤリティが低く見えても、結果的に総額で高くなることがあります。
- 対策:
- 加盟前に「加盟後の費用一覧」を本部から入手し、すべてを把握する。
- 「ロイヤリティ」だけでなく「本部への支払総額」で比較する。
3. 最低保証・本部監査・違約条項の確認
- 落とし穴のメカニズム: 契約書には、加盟店にとって不利になり得る条項が含まれていることがあります。
- 最低保証: 定額方式以外でも、「売上がいくら以下でも、最低〇万円のロイヤリティを支払う」という「最低保証」条項がある場合があります。
- 本部監査権限: 本部が加盟店の会計帳簿や運営状況を監査する権限を持っていることが一般的ですが、その範囲や頻度が不明瞭だと、加盟店の経営の自由度を侵害する可能性があります。
- 違約条項: 契約違反や、中途解約時の違約金に関する条項は、高額な費用負担に繋がる可能性があるため、最も注意深く確認すべきです。
- 影響度: 契約後の予期せぬ費用負担や、経営の足かせになることがあります。
- 対策:
- 契約書の熟読: 不明な点は必ず本部担当者に質問し、納得いくまで説明を受ける。
- 弁護士への相談: 契約書は、必ずフランチャイズ契約に詳しい弁護士にリーガルチェックを依頼しましょう。これが最大の防御策です。
3パターン損益シミュレーター(歩合/定額/粗利分配)|あなたの収益性を可視化する
ここでは、具体的な売上シナリオと、主要な3つのロイヤリティ方式を組み合わせて、あなたの事業の損益をシミュレーションしてみましょう。ロイヤリティ以外の費用も考慮に入れます。
【シミュレーション前提条件】
- 売上:
- 低売上: 150万円/月
- 標準売上: 300万円/月
- 高売上: 500万円/月
- 売上原価率: 40% (粗利率60%)
- 固定費(月額):
- 人件費(管理者給与など): 50万円
- 家賃: 20万円
- その他固定費: 10万円
- 合計: 80万円
- 本部へのロイヤリティ以外の支払い(月額):
- 販促費分担: 3万円
- システム利用料: 2万円
- 合計: 5万円
- 損益シミュレーター(2025年9月30日試算)
項目 \ ロイヤリティ方式 | 売上歩合方式 (5%) | 定額方式 (10万円) | 粗利分配方式 (30%) |
【売上 低売上:150万円】 | |||
売上 | 1,500,000円 | 1,500,000円 | 1,500,000円 |
原価 (40%) | 600,000円 | 600,000円 | 600,000円 |
粗利益 | 900,000円 | 900,000円 | 900,000円 |
ロイヤリティ | 75,000円 (150万×5%) | 100,000円 (固定) | 270,000円 (90万×30%) |
固定費 | 800,000円 | 800,000円 | 800,000円 |
その他本部費用 | 50,000円 | 50,000円 | 50,000円 |
【最終利益】 | ▲25,000円 | ▲50,000円 | ▲220,000円 |
【売上 標準売上:300万円】 | |||
売上 | 3,000,000円 | 3,000,000円 | 3,000,000円 |
原価 (40%) | 1,200,000円 | 1,200,000円 | 1,200,000円 |
粗利益 | 1,800,000円 | 1,800,000円 | 1,800,000円 |
ロイヤリティ | 150,000円 (300万×5%) | 100,000円 (固定) | 540,000円 (180万×30%) |
固定費 | 800,000円 | 800,000円 | 800,000円 |
その他本部費用 | 50,000円 | 50,000円 | 50,000円 |
【最終利益】 | 800,000円 | 850,000円 | 410,000円 |
【売上 高売上:500万円】 | |||
売上 | 5,000,000円 | 5,000,000円 | 5,000,000円 |
原価 (40%) | 2,000,000円 | 2,000,000円 | 2,000,000円 |
粗利益 | 3,000,000円 | 3,000,000円 | 3,000,000円 |
ロイヤリティ | 250,000円 (500万×5%) | 100,000円 (固定) | 900,000円 (300万×30%) |
固定費 | 800,000円 | 800,000円 | 800,000円 |
その他本部費用 | 50,000円 | 50,000円 | 50,000円 |
【最終利益】 | 1,900,000円 | 2,050,000円 | 1,250,000円 |
上記は2025年9月30日時点の試算例です。実際の利益は、原価率、固定費、本部費用、ロイヤリティ率など、個々のフランチャイズ契約や事業所の運営状況によって大きく変動します。
損益分岐点の見つけ方
- 上記のシミュレーションからも分かるように、粗利分配方式は、ロイヤリティ率が高いため、低売上時には最も大きな赤字になります。しかし、売上原価の変動リスクを本部が一部負うため、原価変動が大きい業種で採用されます。
- 定額方式は、売上が低いと赤字になりやすいですが、売上が大きく伸びた時には最も利益が大きくなります。
- 売上歩合方式は、売上に応じてロイヤリティが増えるため、売上と利益が安定しやすいと言えます。
- 結論: どの方式が良いかは、事業の性質、売上目標、そして本部が提供するサポート内容を総合的に判断する必要があります。必ず本部から、詳細な事業収支シミュレーションを入手し、自分の事業計画に当てはめて比較検討しましょう。
法令・開示:何を“書面で”受け取るべきか|トラブル回避の前提
フランチャイズ契約は、情報格差が大きい取引です。加盟者が不利な契約を結ばされないよう、国が定めるガイドラインなどを理解し、必要な情報を書面で受け取ることが重要です。
1. 公正取引委員会:募集時に望ましい開示(ロイヤリティ額/算定/時期)(2025年9月30日確認)
- 独占禁止法上の考え方: 公正取引委員会は、フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方として、本部が加盟希望者に対して、契約締結前に「フランチャイズ・システムに関する必要な情報」を十分かつ適切に開示することを求めています。
- 開示が望ましい事項(ロイヤリティ関連):
- ロイヤリティの額およびその算定方法: 具体的な計算式や、算定基礎(売上高、粗利益など)の明確な定義。
- ロイヤリティの支払時期: 月払いや年払い、支払い期日など。
- ロイヤリティ以外の本部への支払い: 販促費、システム利用料、研修費、保証金、追加サービス費用など、ロイヤリティ以外の費用についても明確に開示すること。
- 重要性: これらの情報が不足していたり、不明瞭であったりする場合、本部側の説明不足や、加盟者への不利益な情報開示が行われていない可能性があります。
2. 中小企業庁:売上予測と実態の乖離トラブル事例と対策(2025年9月30日確認)
- トラブル事例: 中小企業庁の資料「フランチャイズを始めるにあたって」などでは、フランチャイズ契約におけるトラブル事例として、「本部から提示された売上予測と、実際の売上が大きく乖離した」というケースが挙げられています。これは、ロイヤリティの支払い能力に直接影響するため、非常に深刻な問題です。
- 対策:
- 売上予測の根拠を確認: 本部から提示される売上予測(事業収支シミュレーション)は、必ずその算出根拠(既存店の実績、市場調査データなど)を詳細に確認しましょう。
- 「損益計算書」や「キャッシュフロー計算書」の確認: 売上予測だけでなく、ロイヤリティやその他の経費、税金、借入金の返済などを考慮した、詳細な損益計算書とキャッシュフロー計算書を本部から入手し、自分の資金計画に当てはめて実現可能性を厳しくチェックしましょう。
- 「情報開示書面」の受領: フランチャイズ契約を締結する前には、本部から「情報開示書面」を受け取り、内容を十分に吟味することが義務付けられています。この書面には、ロイヤリティに関する情報だけでなく、本部の事業実績、加盟店の数、廃業率、競業避止義務など、契約に関する重要な情報がすべて記載されています。
方式の選び方:あなたの業種・戦略に合わせる
ロイヤリティの計算方式は、それぞれの業種やビジネスモデルの特性に合わせて選択されます。あなたの事業の性質と戦略に合った方式を選びましょう。
1. 回転型/原価高=売上歩合/定額併用、粗利管理重視=粗利分配
- 飲食業(特に低価格・高回転型):
- 向き: 売上歩合方式。客単価が安く、回転率で売上を稼ぐ業態(ラーメン、ファストフード、パン屋など)では、売上歩合方式がシンプルで分かりやすいです。
- 注意点: 食材原価が売上を大きく左右するため、厳密な原価管理が求められます。
- 小売業:
- 向き: 売上歩合方式。商品の仕入れがメインコストとなるため、売上に対するロイヤリティが明確です。
- 注意点: 商品の粗利率が低い場合、手元に残る利益が少なくなる可能性もあります。
- コンビニエンスストア:
- 向き: 粗利分配方式。商品の仕入れ(本部指定)から廃棄ロスまで本部が深く関与するため、この方式が採用されます。
- 注意点: 粗利益の計算方法や、本部が負担する経費の範囲を正確に理解することが必須です。
2. 教室/役務提供型=歩合or定額+人数課金など
- 学習塾・教育サービス:
- 向き: 売上歩合方式、または定額方式と生徒数に応じた変動費を組み合わせる方式。本部が提供するカリキュラムや教材、ブランドの価値が大きいため、ロイヤリティ率は高めになる傾向があります。
- 注意点: 生徒募集が事業の生命線となるため、本部が提供する集客支援やブランド力が非常に重要です。
- サービス業(清掃、フィットネス、美容室など):
- 向き: 売上歩合方式、または定額方式。提供する「役務」に原価がほとんどかからないため、売上に対するロイヤリティの料率が高めになる傾向があります。
- 注意点: 人件費が最大のコストとなるため、いかに効率的に人員を配置し、稼働率を高めるかが重要です。
よくある質問(Q&A)
- Q1. ロイヤリティの金額は、交渉することはできますか?
- A1. 基本的に、ロイヤリティの料率はフランチャイズチェーン全体で統一されていることが多く、個別の交渉で変更することは非常に難しいです。ただし、一部のケース(例: 開業初期の一定期間だけ割引、多店舗展開する際の割引など)では、本部が交渉に応じる可能性もゼロではありません。まずは、フランチャイズ相談会などで本部担当者に相談してみましょう。
- Q2. ロイヤリティが無料のフランチャイズもありますか?
- A2. はい、一部のフランチャイズには、ロイヤリティが無料のモデルも存在します。
- 仕組み: ロイヤリティを徴収しない代わりに、本部が加盟店への商品供給で利益を得たり(卸売型)、システム利用料や研修費などの別の名目で費用を徴収したりするケースがほとんどです。
- 注意点: ロイヤリティが無料だからといって、総支払額が安くなるとは限りません。ロイヤリティ以外の本部への支払いや、本部指定仕入れの価格などを総合的に比較し、最終的なコストを判断する必要があります。
- A2. はい、一部のフランチャイズには、ロイヤリティが無料のモデルも存在します。
- Q3. 加盟前の「情報開示書面」は、どこでもらえるのですか?
- A3. 「情報開示書面」は、フランチャイズ契約を検討する際に、本部から提供される重要な書類です。通常、フランチャイズの説明会や個別面談の際に渡されるか、本部へ直接請求することで入手できます。公正取引委員会のガイドラインに基づき、本部にはこの書面の交付義務がありますので、必ず受け取り、契約締結前に十分に内容を確認しましょう。
- Q4. 複数店舗展開を考えている場合、ロイヤリティはどのようになりますか?
- A4. 複数店舗展開を検討している場合、本部によっては、2店舗目以降のロイヤリティを割引したり、定額制に切り替えたりする優遇制度を設けていることがあります。これは、加盟店の多店舗展開を本部も奨励しているためです。事前に本部担当者に、多店舗展開時のロイヤリティ体系について確認しましょう。
まとめ|“方式×算定基礎×最低保証”で総額把握→確かな意思決定を
フランチャイズのロイヤリティは、ただの「費用」ではありません。それは、あなたが本部のブランド、ノウハウ、サポートという「パッケージ」から得る価値に対する対価であり、事業の収益性を左右する生命線です。
最後に、後悔しないロイヤリティの理解と、確かな意思決定のための3つの鉄則を心に刻んでください。
- 「方式」だけでなく「算定基礎」まで深掘りする: 売上歩合、粗利分配、定額。どの方式であっても、その「%」や「金額」が、具体的に何(売上高、粗利益、数量など)に基づいて、どのように計算されるのかを、契約書で隅々まで確認しましょう。 特に、粗利分配方式における「廃棄ロス」の扱いは要注意です。
- 「ロイヤリティ」以外の「本部への支払い総額」で比較する: ロイヤリティ率が低く見えても、別途、販促費分担、システム利用料、研修費、最低保証などがかさむと、結果的に総額で高くなることがあります。必ず、加盟後に本部へ支払うすべての費用を洗い出し、年間総額で比較しましょう。
- 「損益シミュレーター」と「契約チェックリスト」をフル活用する: 本部から提供される事業収支シミュレーションを鵜呑みにせず、本記事の損益シミュレーターを使い、低売上時・高売上時の両方で、あなたの事業計画に当てはめて試算しましょう。そして、契約書サイン前には、本記事のチェックリストで、すべての確認事項に漏れがないかを徹底的に検証してください。
この記事が、あなたのフランチャイズ開業への不安を解消し、ロイヤリティの仕組みを完全に理解した上で、成功へと続く確かな一歩を踏み出すための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。
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